年間計画のカレンダーを前に学習スケジュールを立てる学生

PREP SCHOOL COMPARISON GUIDE

合格実績の数字を、
正しく読み解く。

重複計上(のべ数)という考え方と、浪人1年間の学習計画の立て方を整理しました。

最終更新日:

合格実績の重複計上とのべ数という考え方

予備校の合格実績を見るとき、多くの受験生・保護者が見落としがちなのが「重複計上」と「のべ数」という考え方です。大学受験では、一人の受験生が複数の大学・学部に合格することが一般的であり、たとえば同じ受験生が東京大学と早稲田大学の両方に合格した場合、多くの予備校の合格実績集計では、それぞれの大学の合格者数としてカウントされます。つまり、大学別の合格者数を単純に合計すると、実際に合格した「人数」よりも大きな数字になるのが通常です。

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この「のべ数」という集計方法自体は、多くの予備校が採用している一般的な手法であり、不正確というわけではありません。問題は、この前提を知らずに複数の予備校の実績を単純比較してしまうと、実態以上に成果が大きく見えたり、逆に実際より小さく見えたりする可能性がある点です。合格実績を比較検討の材料にする場合は、集計方法(のべ数か実人数か)、対象範囲(在籍生のみか、講習会のみの受講者を含むか)、そして集計期限がいつ時点かを、あわせて確認する習慣をつけることをおすすめします。

加えて、合格実績の集計対象に「在籍生」だけでなく「講習会のみの受講者」まで含めている予備校もあり、この違いによっても数字の意味合いは変わってきます。講習会だけを受講した生徒は、他の予備校をメインに通いながら特定の講座だけを追加で受講しているケースも多いため、そうした生徒の合格実績まで含めた数字は、その予備校の指導力そのものを示すというより、講習会という商品の受講者層の広さを反映している側面もあります。数字の背景にある集計対象の定義まで意識して読み解くことが、実態に近い理解につながります。

駿台の掲載方法変更が示すもの

駿台予備学校は、2026年度入試以降、これまで実施してきた大学別の合格者数掲載の方法を変更したことを公式サイトで案内しています。長年、大学別の合格者数を詳細に公表してきた大手予備校がこうした方針転換を行った背景には、合格実績の表示のあり方そのものに対する業界全体の議論があると考えられます。実際、学習塾の合格実績表示をめぐっては、過去に景品表示法に基づく措置命令が出された事例もあり、合格者数や合格率の表示方法には、一定の慎重さが求められる領域になっています。景品表示法の考え方については消費者庁の公式サイトに詳しい説明があります。

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この動きが受験生にとって意味するのは、「大学別の合格者数」という分かりやすい指標だけに頼った比較が、今後さらに難しくなっていくという点です。大手予備校の比較表で整理した各社の合格実績公表方針を見ても、Z会のように集計期限と対象範囲を明記して詳細に公表する予備校もあれば、体験記中心の開示にとどめる予備校もあり、開示のスタンス自体に幅があることが分かります。合格実績の数字そのものよりも、その数字がどのような前提で作られているかを確認する視点が、これからの比較検討ではより重要になってきます。

受験生・保護者としてできる現実的な対応は、特定の予備校の合格実績だけを根拠に入会を決めるのではなく、プレイヤー別プロフィールで紹介した指導方針や授業形態が自分に合っているかどうかを、実績と同じくらい重視して検討することです。合格実績はあくまで参考情報のひとつとして位置づけ、最終的には体験授業や個別相談を通じて得られる実感を判断材料に加えることをおすすめします。数字の大小に振り回されるのではなく、集計の前提を理解したうえで、自分の志望校・学力状況に照らして意味のある情報だけを取り出す姿勢が、合格実績との健全な付き合い方だといえます。

各社の実績表示を読み解くポイント

合格実績の表示を読み解く際にチェックしたいポイントは、大きく四つあります。第一に、集計対象が「在籍生」全体なのか、特定のコース・講習会の受講者に限られているのかという範囲の違いです。第二に、先述した重複計上(のべ数)か実人数かという集計方法の違いです。第三に、集計期限がいつの時点かという点で、入試シーズンの途中で発表される速報値と、追加合格まで含めた最終確定値では数字が変わることがあります。第四に、特待生・特別選抜クラスなど、特定の条件を満たす生徒だけの実績が強調されていないかという点です。

メビオのように、年度別・大学別の合格者数に加えて開校以来の累計合格者数まで公表している予備校もあれば、YMSのように一次合格者数と最終合格者数を分けて公表している予備校もあります。こうした開示の詳しさの違いは、必ずしも実力の差を示すものではなく、開示方針の違いによるものであることを踏まえたうえで、気になる数字があれば、その集計条件を各社公式サイトや資料請求で直接確認することをおすすめします。

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主要各社の合格実績の示し方(公式サイトで確認できた範囲)

プレイヤー公表の形集計条件の明示備考
駿台予備学校2026年度入試から大学別合格者数の掲載を取りやめ、合格体験談等を中心に発信2025年8月1日付「2026年度入試以降の合格者数の掲載について」で告知本サイトのブログでも解説
東進ハイスクール/東進衛星予備校大学別の合格者数を公表公式サイト参照2026年東進合格実績として掲載
Z会大学別合格者数を公表集計期限(2026年6月30日判明分)と対象範囲(通信教育・教室本科生・講習生・提携塾のZ会講座受講生。模試のみは含まない)を明記通信教育
代々木ゼミナール「合格の声」等の体験記中心―(大学別合格者数の記載なし)公式サイト参照
四谷学院合格実績ページと体験記特待生ではない一般生の体験記であることを明記公式サイト参照
富士学院(医学部専門)医学部医学科専願者数を分母に、実人数の合格者数と合格率を年度別に公表分母(専願者数)を明示のべ数ではなく実人数

2026年9月時点、各社公式サイト・公開資料に基づく。最新情報は各社サイトで確認してください。

同じ「合格実績」という言葉でも、のべ数か実人数か、どの範囲の生徒を含めるか、いつ時点の集計かによって意味が変わります。表のように示し方そのものが異なる以上、数字の大小だけで予備校を比べることはできません。実績を材料にするなら、集計条件を明示しているかどうか、そして自分と同じ立場(現役・高卒、在籍コース)の生徒がどう数えられているかを確認することが先決です。

浪人1年間の学習計画の立て方

浪人が決まった場合、まず取り組みたいのは、前年の入試結果を科目別に振り返り、合格ラインとの差がどこにあるのかを具体的に把握することです。そのうえで、4月から夏までを基礎の立て直しと弱点補強の期間、夏から秋を応用力・実戦力の養成期間、秋から入試直前までを志望校対策と演習の総仕上げ期間、というように大きく三つのフェーズに分けて計画を立てると、一年間の見通しが立てやすくなります。

予備校のカリキュラムは、こうした一般的なフェーズを前提に組まれていることが多いため、通っている予備校のカリキュラムに沿って学習を進めるだけでも、大きな流れとしては妥当な計画になります。ただし、自分の弱点科目については、予備校の標準カリキュラムだけでは演習量が不足することもあるため、季節講習や個別指導、オンライン映像授業などを組み合わせて補強することも検討してください。学習計画を立てる際は、予備校・塾・独学の違いと向き不向きで整理した自分の学習スタイルも踏まえておくと、無理のない計画になります。

計画を立てる際にもう一つ意識しておきたいのが、模試の位置づけです。模試は単なる実力測定の場ではなく、現在の学習計画が妥当かどうかを客観的に確認するためのチェックポイントとして活用できます。判定結果に一喜一憂するのではなく、科目・単元ごとの得点率を分析し、当初の計画からのずれを修正する材料として使うことで、年間を通じて計画の精度を高めていくことができます。特に夏と秋に行われる模試の結果は、志望校対策の配分を見直す重要な判断材料になります。

宅浪とオンライン予備校の併用

通学型の予備校に通わず、自宅を拠点に学習を進める「宅浪」を選ぶ受験生にとって、オンライン予備校・映像授業サービスは学習の骨格を作るうえで重要な役割を果たします。オンライン予備校・映像授業の比較表で紹介したスタディサプリや学研プライムゼミのような映像授業サービスを軸に、模試の受験と自己採点による弱点分析を定期的に行うことで、通学型の予備校に近い学習サイクルを自宅でも作ることができます。

宅浪の最大の課題は、学習計画の管理とモチベーションの維持を一人で担わなければならない点です。決まった時間に授業を受けるという外的な区切りがないため、学習時間が不規則になりやすく、孤独感から学習意欲が低下してしまうこともあります。対策として、模試や自習室のみの利用契約を提供している予備校を部分的に活用したり、家族や友人と定期的に進捗を共有したりするなど、自分なりのペースメーカーを意識的に作っておくことをおすすめします。

また、宅浪であっても、志望校対策や記述式答案の添削指導だけは、通信教育や個別指導、あるいは学校の恩師に依頼するなど、外部の視点を取り入れる仕組みを一つは確保しておくことをおすすめします。自己採点だけでは気づきにくい答案の癖や、記述の減点ポイントは、第三者に見てもらうことで初めて明らかになることが多いためです。オンライン予備校・映像授業の比較表で紹介したZ会のように、添削指導を中心に据えたサービスは、こうした宅浪の弱点を補ううえで有効な選択肢のひとつです。

よくある質問

合格実績の「のべ数」と「実人数」はどちらが正しい集計方法ですか。

どちらか一方が正しいというものではなく、それぞれ異なる情報を示す集計方法です。のべ数は複数合格を含めた合格件数の総数を、実人数は実際に合格した生徒の人数を示します。比較する際は、どちらの方法で集計されているかを確認することが重要です。

駿台の合格者数掲載終了は、駿台の実績が悪化したことを意味しますか。

公式サイトの案内は掲載方法の変更を示すものであり、実績そのものの評価とは別の問題です。掲載方針の変更理由については、駿台予備学校の公式サイトの案内をご確認ください。

宅浪は予備校に通うより不利になりますか。

一概には言えません。学習計画の管理や添削指導など、予備校が担っている役割を自分でどこまで補えるかによって結果は変わります。オンライン予備校や模試、自習室のみの契約などを組み合わせることで、宅浪でも計画的な学習サイクルを作ることは可能です。重要なのは通学の有無そのものではなく、学習計画の管理・添削指導・モチベーション維持という三つの役割を、どのような形であれ自分の学習環境の中に確保できているかどうかです。

まとめ:次に読むページ

合格実績は、集計方法や対象範囲によって見え方が大きく変わる指標です。のべ数か実人数か、集計対象がどこまでか、集計期限がいつかという三つの視点を持つだけで、数字の見え方は大きく変わってきます。数字そのものだけでなく、その数字がどのような前提で作られているかを確認したうえで、比較検討の材料として活用することをおすすめします。

これから予備校選びを始める方も、すでに通っている予備校の実績表示に疑問を感じている方も、まずは集計条件を確認する習慣から始めてみてください。予備校・塾・独学の基本的な違いから振り返りたい方は予備校・塾・独学の違いと向き不向きへ、費用面を確認したい方は費用の全体像と奨学・特待制度へお進みください。

本サイトは公開情報を整理した情報提供であり、各校の料金・カリキュラム・合格実績は変更されることがあります。合格を保証するものではありません。契約前に必ず各社の公式情報をご確認ください。